社会保障のための財源は、相続税を中心とし、消費税は将来的に地方に移管

消費税は、社会保障の財源としては不適当

政府の消費税の社会保障目的税化の論拠の一つは、幅広い世代間で社会保 障制度を支えることとされています。確かに、所得課税を中心に据えると、若い世代が苦しみながら稼いだ所得を、若い人に比べて資産を多く持っている高齢世代に移転することとなり、世代間の不公平の問題が生じます。
しかし、これは消費税であっても同じ問題があります。高齢世代は総じて若い世代よりも「資産」を有している訳ですから、欲しい物も少ない=消費も少なくなる一方で、若い人は資産もなく子育てやら何やらで費用もかかる=消費税負担も大きくなりがちです。住宅を例にとってみれば明らかです。消費税が食品などの日常生活に関するものだけにかかるならば「世代間の公平」も保たれるかもしれませんが、これは現在の議論の方向に逆行するので採り得ないでしょう。

社会保障の財源として相続税を活用するべきである。

むしろ世代間の公平の観点からは資産性課税(相続税のほか、株式配当や預金利子も含めて)を社会保障財源にするのが相応しいと考えます。特に相続税に関しては、これを社会保障目的税とし、課税ベースを拡大し一部の資産家に偏ることなく「広く薄く」徴収するべきであると考えます。こうすることで、消費税や所得税を増税する場合とは異なり、国民の日常生活への影響を抑え込むことができるでしょうし、理屈の上からも、若い世代からの資金を使って社会保障の恩恵を受けた訳ですから、使い切れずに蓄積された資産の一部を社会に還元してもらうことは理に適っていると考えます。勿論、親の面倒をみた相続人などについては、その分、減税することも考慮に入れるべきでしょう。

補完としての高額所得に対する増税

そして、それを補完する位置づけとして、高額所得に対する所得課税を検討するべきです。これは、社会保障が国民相互間の相互扶助であることから、現在の厳しい雇用情勢も踏まえ、不足分については高額所得者にお願いせざるをえないこと、また、前述するように、私が提唱する「医療立国」政策を採用するならば、社会保障費の支出が財源となって経済活性化につながり所得増をもたらすものとなるため、その恩恵の一部の社会への還元を求めることは合理的であると考えるからです。
ただし、これは後述するように消費税の地方税化とセットで行われる地方交付税の廃止がある場合には、必要がなくなるかもしれません。

消費税の地方税化

そして、この場合、消費税については、大阪維新の会が提唱するように地方交付税の廃止とセットで「地方税化」するべきであると考えます。

すなわち、そもそも地方行政は日常的行政が多いため、より安定した税収が必要となるので、現在の住民税や法人事業税のような景気の好不況により大きく変動する税よりは、消費税が馴染みます。
他方で、地方交付税については、国が地方の足りないお金を補てんする という制度であるため、地方財政の真の自立を妨げているという批判もあります。例えば、米国では州によって消費課税の税率が異なるように、地方交付税の代わりに消費課税を地方に移管して、その税率も地方が自ら議会で決することができるようになれば、税収の安定性を確保できるとともに、地方財政の真の自立を実現することができるでしょう。

そして、このことは、民主党が批判するような「荒唐無稽のアジテーション」ではありません。むしろ国にとっては、消費税を全額地方に委ねても地方交付税廃止を行うことにより、現行制度下においてもトータルでプラス7.5兆円、すなわち消費税収の3%相当のネット増収となりますから、今の政権がやろうとしている消費税の8%への増税と同じ効果となります。
他方で地方サイドにとっては、交付税という「ぬるま湯」から出て「消費税増税」という重い決断の矢面に立たされる覚悟が問われますが、これを「荒唐無稽のアジテーション」と言ってしまえば、さすがに地方に失礼であると思います。

(注)現行地方交付税制度においては、消費税(地方消費税を除く国分4%)の税収10.2兆円の29.5%=約3兆円が地方交付税財源にくみこまれています。従って、消費税を地方移管する場合の国・地方の損得は、
国 マイナス7兆円
地方 プラス7兆円
これに対し、地方交付税(約17.5兆円)を廃止すれば、消費税収分3兆円を差引すれば、
国 プラス14.5兆円
地方 マイナス14.5兆円
結局、トータルで国はプラス7.5兆円のネット増収となります。これは消費税収の3%相当ですから、今の政権がやろうとしている消費税の8%への増税と同じ効果となります。


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